受験について

効率的な勉強方法というのはたしかにある。
しかし、勉強の内容を分かりやすく教えることはできても、効率的な勉強方法まで教えられる先生はほとんどいない。努力を美化するが、最短ルートで受験を突破する方法を教えてくれない。
理由はいくつかある。第一に先生は”生産性(効率性)”という概念をそもそも持っておらず、努力論に逃げがちだからだ。予備校教師を含めて先生たちの仕事の成果は生産性では図られない。第二に、受験に努力論を持ち出せば「努力が足りなかったんだ」と簡単に片付けることができるからだ。教育の現場では、論理云々ではなく「フェアであること」を誰もが好む。実際には人生はアンフェアで、その中でいかに要領よくやるかが大切だが、その事実を伝えるだけの勇気がある先生は少ない。むしろ、部活に勤しみながら、遊びながら、恋をしながらもすました顔をして結果を出す要領の良いヤツよりも、勉強一本でコツコツとやる子たちのやり方を推奨するくらいだ。
受験においては、勉強”量”も重要だが、最小限の勉強量で受験を突破するために、正しい戦略を立て要領良く勉強することが重要だ。
1. 手っ取り早く志望校を絞る
まずどこを目指すかを明らかにする。
目指す先は基本的には興味があり、学びたいことから選ぶ。興味がある・なしは実際に学んでみなければはっきりとはわからない。それでもネットや本屋で細かく調べ、直感的にでもワクワクできる分野について学べる大学を選ぶ。理系学部に進みたいなら、見るべきは研究室だ。Webページ、パンフレット、オープンキャンパスでどんな研究ができるのか調べる。また、Webで調べて教授に「話を聞かせてほしい」とメールすれば間違いなくどんな研究ができるのか親切に教えてくれるはずだ。

レベルの高い大学を目指す意味
やりたいことが分からなくとも東大や京大を目指す価値はある。世間はどこまでいってもこれらの大学のブランドを信用しており、その後の人生で何かと選択肢が増えるからだ。また、早稲田、慶応のような比較的各分野で面白い人たちが集まっている大学を目指すのも良い。海外に行きたいなら、大学で留学したいなんて言わずに、はじめから海外の大学を目指すのも良い。
できれば、実際にキャンパスに行くなりしてどんな大学かというイメージもしておくと良いだろう。それがモチベーションになる。どの大学もキャンパスに学生が溢れるほどいる。もし、あなたが私服で大学内に入り込んだとしても誰ひとり気にもとめない。

学歴は関係ある
なお、年上の人たちの「学歴なんて関係ない」という言葉は信用してはいけない。それはあたかも「誰かを好きになるのに顔なんて関係ない」という言葉のようなもので、関係ないと思う人もいれば、関係あると思う人もいる。関係あると思う人がいる限り、学歴はキャリアに影響し続ける(たとえば、いつか行きたくなった会社の採用担当が学歴が重要視するかもしれない)。現状、学歴はその後の人生の生きやすさに大きく影響する。ちなみに「学歴なんて気にしているのは日本くらい」というのも大嘘。アメリカはもっと極端な学歴社会だ。

2. 科目を絞る
どうせ高校で興味もなく中途半端に勉強したことなんてすぐに忘れる。本当に学びたいことは大学に入ってから学べばいい。そのため、3年生なら受験に必要な科目だけを勉強する。とりあえず「必要になるかもしれない科目を全部勉強して、願書提出の時期になったら行けそうな大学から選ぶ」なんてことはしない。効率が悪いし、明確な目標を作らなければ、モチベーションは上がらない。

3. まず過去問を解く
目指す大学が決まったら、第1に過去問を解く。はじめはボロボロかもしれないが、それでも全て目を通す。解き終わったら、点数の低さに落ち込むのではなく、各科目ごとに、受験までにどれくらいのレベルアップをしなければならないのか把握する。これを2ヶ月ごとくらいにやる。常に現実と必要なラインとの差を知り、必要な部分を埋めていく。これが受験勉強の基本的な考え方だ。

4. スケジュールを細かく引く
入試日程から逆算し、科目ごとにスケジュールを作っていく。それに縛られすぎてはいけないが、基本的にはスケジュール通りに進めていく。そのとき、10月にはすべての項目を終わらせる計画を立てる。10月までにすべての基礎的な勉強を終え、そこからは過去問や模試を受け、自分の弱いポイントを入試に頻出のところから埋めていくような勉強の仕方にする。

5. 効率的に参考書を使う
まず、その分野全体を網羅的できる参考書をやる。学校の教科書は使わない。分かりづらいだけでなく、実際の受験と大きなギャップがあるからだ。参考書選びはとても重要だ。ネットで調べて吟味して調べる。
また、科目に関わらず、読み進めるだけのタイプの参考書をメインでは使わない。解きながら進んで行くタイプの参考書を使う。手を動かさなければ、頭はフルに働かず、記憶に残らないのだ。読み進めるタイプの参考書は、分からないことがあったときに調べるために使う。化学や生物、社会などを2次試験まで受けるのであれば、一冊分からないことがあったときに調べられる、大抵のことはのっている辞書的な参考書を持っておく。
なお、取り組んだ参考書の数が多いことには全く意味はない。質の高い参考書をいかに完璧にマスターするかが重要になる。
6.模試は3ヶ月に1回くらいでいい
模試ばかり受けていても学力はつかない。受けっぱなしに意味はない。1回模試を受けたら、長い時間を割いて振り返る。点数や判定は全く気にしなくていい。重要なことは、問題を間違えたのはなぜかを把握し(理解できていなかったからなのか、覚えてなかったからなのか、うっかりミスなのか)理想のラインまでどのくらいギャップがあり、そのギャップを埋めるための戦略を立てることだ。
自分の間違え部分を入念に分析し、どの参考書や問題集を解けばそのギャップを埋められるかを把握する。どの分野が弱いのか。そしてスケジュールを引き直す。そのため模試は、センター模試、大学固有の模試それぞれを数ヶ月に1回ずつ受ければいい。

以上の6点を意識すると比較的勉強のベースはできるのではないかと感じる。